自分が作った曲だけど自分のものではない?著作権帰属の要注意ポイント

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出典: raquel (from: Adobe Stock)

著作権は、著作物を創作する者に自動的に発生するものですので、例えば音楽であれば、作詞または作曲した人に自動的に発生し、その作詞または作曲した人が著作物を創作する者(=著作者)であると同時に、著作権を有する者、つまり「著作権者」となります。

これが、著作権の帰属の基本となります。

しかし、特に音楽の世界では、この基本とは異なる状態になっている場合が多々あります。
それを知らずに、例えば「作曲者が使っていいよと言っているから問題無い!」「作曲者が知らないところで曲が使われた!」と主張される場合もあり、トラブルの元となってしまうおそれもあります。

ここでは、特に音楽の著作物に関して、作詞者や作曲者が著作権を有さない場合の代表例を取り上げてみます。

1.著作権を譲渡している場合

商業音楽の世界ではこのケースが最も多いかと思います。
先日のJASRACの記事でも書いたとおり、特にある程度の流通や配信が予定されている場合は、JASRAC等に著作権が譲渡されている場合がかなり多いです。

作詞者・作曲者が直接JASRACに譲渡する場合の他、音楽出版社に譲渡し、その音楽出版社がJASRAC等に譲渡している場合もあります。
また、すべての著作権ではなく、著作権の一部のみを譲渡している場合もあります。

この場合、著作権という権利を譲渡しているのですから、作詞者・作曲者という「著作者」であっても「著作権者」ではない、ということになります。

つまり、作詞者・作曲者という立場であっても、著作権という権利が自分の元から離れている以上、その権利を行使することはできませんので、すべての著作権を譲渡している場合、著作権法で規定されている複製する権利(著作権法(以下「法」といいます)21条)、人前で演奏する権利(法22条)、ネット配信する権利(法23条)などは作詞者・作曲者にはありません
このような権利が無いということは、たとえ作曲者本人が「自分の曲を使っていいよ(=利用を許諾する)」と他人に言った場合であっても、それは効力がないということになりますので、「作曲者が使っていいよと言っているから問題無い!」ということもありません。
よって、例えばその作曲家の曲を人前で演奏する場合は、作曲者本人ではなく、著作権者(JASRACやNexTone等が多い)から許諾を得る必要があります

文字で表すと”権”という1文字があるか無いかだけの違いですが、著作権という権利から考えると「著作者」と「著作権者」は全く異なるものですので要注意です。

なお、著作権を譲渡している場合でも、著作者人格権は譲渡できませんので(法59条)、公表権、氏名表示権、同一性保持権は著作者(作詞者・作曲者)が保有し続けます。

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2. 職務著作に該当する場合

著作物を創作する者が著作者であり、(最初の)著作権者であるという原則は先述の通りですが、この例外として、作詞者・作曲者が所属する法人(会社など)が著作者になる場合があります。

これが「職務著作(※「法人著作」と呼ばれる場合もあります)(法15条)と呼ばれるもので、以下のすべての条件を満たしている場合、実際に作詞・作曲した個人ではなく、その個人を雇用等(*1)している法人等(*2)が著作者となります。

  • 法人またはその従業員からの発意に基づいて
  • その法人の従業員等が、法人の業務として作成する著作物で
  • その法人の名義において公表されるもの(※プログラムの著作物を除きます)
  • その著作物の作成において契約や就業規則などで別段の定めがない場合
*1: 雇用されている従業員のほか、雇用関係に匹敵するような指揮監督関係が認められるような場合(派遣社員等)も該当すると考えられます。
*2: この「法人」には、法人格を有さない社団や財団で、代表者や管理者の定めがあるものを含みます(法2条6項)ので、例えば町内会や自治会、PTAといった団体も該当します。

この場合、法人が著作者となるわけですから、実際に作詞・作曲した個人(従業員)には著作権法上では何の権利も無い、ということです。
1.で取り上げた「著作権譲渡」の場合は作詞者・作曲者は著作者ですので著作者人格権を有していますが、職務著作の場合は著作者にもならないためです。

例えば「ゲーム制作会社の社員が作った、自社開発するゲームに使われる曲」が典型例として考えられ、就業規則で別段の規定(例えば作曲者が著作者となる旨の規定がある等)が無い場合は、作曲者ではなく、ゲーム制作会社が著作者となります。
そのため、ゲーム制作会社は、実際の作曲者に無断で自由にその曲を利用することが可能です。

利用するときは権利者を確認しよう

このように、よく知られた作詞者・作曲者が作った楽曲であっても、その作詞者・作曲者本人が著作権を有しているとは限りません。
楽曲を利用する場合は、誰が権利者(著作権者)なのかをしっかり確認し、その権利者から許諾を得るようにしてください。

また、作詞者・作曲者の人も、特に「職務著作」に該当する場合は自身は何の権利も有していませんので、自身が著作権を有しているような言動はトラブルの元になってしまうおそれもあるため、注意が必要です。
これは音楽に限らず、社員として在籍時に描いたイラストの著作権を会社に対して主張してトラブルになったといった事例も聞かれます。

利用者も、創作者も、誰が著作権を有しているのかをしっかり認識しておくことが大切ですね。

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