著作隣接権とは?

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広める人にも権利を!

著作隣接権とは、著作物を公衆に伝達する重要な役目を担う人に与えられる権利の総称です。
著作権が付与される要件である”著作物の創作”はおこなっていませんが、でも著作物を伝達するために、方法や見せ方などいろいろ工夫した準創作的な作業が行われたことを評価し、著作権よりも弱い権利という形で著作隣接権が付与されることになっています。

例えば、作詞家と作曲家が作った曲を歌手が歌うという場合、作詞家と作曲家は著作物を創作したことにより著作権で保護されますが、その著作物を広めた(=歌った)歌手だって、歌い方や表現について工夫しているはずですので、それを準創作的なものとして保護するのが著作隣接権、ということになります。(この場合の歌手は、後述する「実演家」になります。)

著作隣接権が与えられる4者

この権利は誰にでも与えられるものではなく、著作権法では「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」「有線放送事業者」の4者を保護するものとして権利が生じます。

なお、著作隣接権も著作権と同様、国際ルールに則って登録や申請などの手続きを行わずに自動的に発生します。

また、著作権と同様、著作隣接権が与えられるのはその道のプロだけではなく、要件に当てはまれば誰にでも権利が生じます。
スナックのカラオケで歌っても実演ですし、手品を披露するのも実演です。
赤ちゃんの鳴き声を録音したCDを作ればレコード製作になりますし、森で小鳥の声を録音してもレコード製作となります。

いろいろ演じます!=実演家

著作隣接権が与えられる4者のうち、実演家とは「俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。」(著作権法第2条第1項第4号)と定義されており、実演とは「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。」(同法第2条第1項第3号)とされています。

つまり、何かを歌ったり踊ったり、朗読したりする人が実演家となります。
この実演は音楽や脚本などの著作物だけに限らず、例えば手品やモノマネなどの著作物以外のものでも該当します。

音を最初に録音します!=レコード製作者

著作物に限らず、また媒体を問わず、音を最初に録音(法的には「固定」といいます)したものがレコードだと定義されており、そのレコードを最初に作った者がレコード製作者となります。

レコードは媒体を問いませんので、テープやCDはもちろん、パソコンのハードディスクに録音したものでもレコードです。
なお、このレコードのことを「原盤」とも言いますが、こちらの表現のほうが理解しやすいかもしれませんね。

著作隣接権は基本的には1種類

著作権は、「著作者人格権」と「(財産権としての)著作権」という2つがありましたが、著作隣接権は基本的には大きな括りで1種類です。
それが「財産権」となります。
ただし、実演家に対してのみ、著作者人格権に似た「実演家人格権」が与えられますので、実演家のみ「実演家人格権」と「財産権」の2種類が与えられることになります。

財産権は許諾&報酬請求

著作者が持つ財産権は基本的にすべて「許諾権」で、他人が無断で利用することを止める事が出来る権利ですが、著作隣接権の財産権は、この許諾権の他に「報酬請求権」があり、他人が利用する場合に使用料などの条件を付けて利用させることができる権利です。
報酬請求権では他人の利用を止めることができませんが、お金は払って下さいと言うことができます。

この許諾権と報酬請求権は、著作隣接権が付与される相手によって内容が若干異なります。

  • 実演家の権利
  • レコード製作者の権利
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