無断リンクが著作権侵害となる!?EU司法裁判所の判決を考える

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本日2016年9月9日のニュースで、驚くべきものを目にしました。

無断リンクは著作権侵害=「プレイボーイ」写真閲覧-EU司法裁」(時事ドットコムニュース)

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ウェブサイトへのリンクと著作権

通常、ウェブサイトへのリンクは、それがたとえ無断であったとしても、著作権は侵害していないと考えられています。
リンクを貼るという行為は、あくまでコンテンツの場所を指し示し、そこへ行く手段(ハイパーリンク)を提供しているだけですので、リンク先のコンテンツをコピー(複製)や改変をしているわけでもなく、著作権の具体的な支分権、たとえば複製権や公衆送信権、翻案権などを侵害しているとは言えないためです。

しかし、今回のEU司法裁判所の判断では、このウェブサイト間のリンクであっても、著作権侵害であるとされました。

事件の概要

今回の裁判所の判断となった発端は、2011年、オランダの雑誌「プレイボーイ(Playboy)」に掲載する予定だった写真が流出し、その写真を掲載していたウェブサイトへのリンクを含んだニュース記事を配信したとして、写真の著作権を有する雑誌発行元が、記事を掲載したニュースサイトを訴えたものです。

ここでのポイントは、ニュース記事が示したリンク先は、流出した写真を権利者の許可無く掲載していたわけですから、そのサイト自体は著作権(複製権および公衆送信権)を侵害していたと考えられる点です。

ちなみに、リンク先はファイルストレージサイトであったようです。

つまり、適法なサイトへのリンクであれば問題は無いが、このような違法状態のサイトへリンクすることについては、その行為も権利侵害である、という判断のようです。

判決の影響

別の記事によれば、そのリンクが営利目的である場合には、リンク先のコンテンツが不正に公開されたものではないことを保証するために必要なチェックを行う必要がある、と裁判所は判決の中で述べているようです。

正当な権利者の側から見れば、第三者による権利侵害の更なる拡大を防ぐ効果があると考えられ、今回の判決は歓迎するものだと思います。

ですが、その一方で、単なるリンクにまで規制が及ぶことは「報道の自由」の侵害であるとも考えられますし、実際この裁判で被告となっているニュースメディアもこのように反論しているようです。

この判決はあくまでEU司法裁判所によるものであり、直ちに日本においてもこのように判断されるというわけではありませんが、しかし今後は日本での裁判においても少なからず影響を与えることが考えられます。
今後の展開に注目していこうと思います。

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