どんなホームページを見ても、フッターに当たり前のように見かける「All rights reserved.」という表記。
直訳すれば「すべての権利を留保する」ということになるため、著作権を主張するために必要な表記のように思えますが、実は現在ではほとんど、いや、全くと言ってよいほど意味が無いものです。
そもそも、何でこのように書くことになったのか
事の発端は1910年に調印された「ブエノスアイレス条約」です。
(※日本は調印していません。)
この条約は、アメリカなど方式主義(※下記参照)を採用していた国々で結ばれたもので、その中で「自国以外の加盟国において著作権による保護を受けるためには、権利を留保するという表示が必要」とされていたため、マルCマークや最初の発行年(これらは万国著作権条約では必要な要素)とともに記されるようになりました。
ちなみに、表記として必要な物はマルCマーク、最初の発行年、著作権者名、権利留保ということになるため、例えばあえてこのブログについて著作権表示をするなら
©2015 Beans Administrative Scrivener Office. All rights reserved.
のような表記になります。
著作権の保護を受けるために登録が必要であること
でも、現在では意味がありません
そのように条約で定められていたため著作権表示に際に記されてきましたが、現在ではほとんどの国がベルヌ条約に加盟しているため、無方式主義を採用しています。
つまり、わざわざ権利表示しなくても保護されるようになっています。
特に日本においては、そもそもブエノスアイレス条約に加盟していませんし、ベルヌ条約加盟国であるため無方式主義を採用しており、過去の歴史においても「All rights reserved」表記が必要となったことはありません。
じゃあ、なぜ書くの?
大国・アメリカが1989年にベルヌ条約に加盟するまでは方式主義を採用しており、万国著作権条約によって日本のような無方式主義国の著作物をアメリカのような方式主義国でも保護するためには先述の通り著作権表示が必要であったため、その名残で記すことが慣習化しているのかもしれません。
特にウェブサイトに表示する場合においては、単なる慣習という意味合いが強いと思います。
今後は書かないようにしませんか?
このように、今やまったく不要の表記となっている「All rights reserved」。
不要な慣習と感じるのであれば、今後は書かないという選択をとることも必要かもしれませんね。
なお、著作者名表示は権利者を明示できるというメリットもあり、またベルヌ条約には加盟していないが万国著作権条約には加盟している国(※現在はカンボジアしかありませんが。)において保護されるために、All rights reservedは除いてシンプルに「©2015 ビーンズ行政書士事務所」のように「マルCマーク+最初の発行年+著作者名」だけを記す、という方法でも良いかもしれません。
このブログでは権利者を明示するために、この方法にて表記しています。