ネット検索で見つけた写真画像の利用は要注意

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一時期非常に問題となっていた、いわゆるバイラルメディアによる著作物の盗用。
記事から写真から丸パクリしていたメディアが、1つや2つではないという点が、この問題の奥深さのようにも感じますが、最近はバイラルメディア自体が衰退してきたためか、こういった事例も徐々に減ってきているようです。

ただそんな中でも、バイラルメディアが登場するずっと以前から存在している問題というのが、写真の盗用ではないでしょうか。

その根底には、「ネット上の写真は無料で自由に利用できる」という間違った考えがあるのではないかと感じています。

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ネットは写真データの宝庫

ウェブサイトやポスター、チラシなどで写真を掲載したい。
でも自分の手持ちのデータの中には適当な写真が無い、といった場合、画像検索してヒットしたものを使ってしまおう、と考える方は多いのではないでしょうか。

確かに、思いついたキーワードでちょっと検索するだけで、そのキーワードに合致した多くの写真を簡単に見ることができます。
世界中の多くの人が、多くの写真や画像をインターネット上に公開しているため、頭のなかでイメージしている”使いたい写真”や”使える写真”というのは、意外と誰かが公開しているものです。

フリーだからフリーという勘違い

このように、現在ではちょっと検索するだけで多くの画像を見ることができるようになっていますが、その”見る”という行為に対してお金がかからない、というのも大きなポイントの一つです。
必要となるお金がゼロ、つまりコストが「フリー」ということですね。

もちろんプロバイダーや携帯電話会社に対してインターネットへの接続料というものは支払っていると思いますが、一度ネットに繋がれば、その中にある無限の情報に対して、多くの場合、特別な費用を支払うことなく手が届きます。
それは写真だけでなく、音楽だったりイラストだったり、ニュースや小説などの原稿だったり。
こういった多くの著作物に対して、簡単にタダで接することができます。

もちろん、こういった著作物を利用するには、原則として著作権者の許諾が必要です。

ですが、このような簡単に接することができる状況を間違って解釈してしまい、今接しているネット上の著作物が、あたかも自分が自由に扱えるもの、つまり利用が「フリー」であるように感じてしまうことはないでしょうか?

このような、ネット上にあるものは自由に使って良いものだと考えている人は、一定数以上存在すると感じています。
実際、写真を盗用したバイラルメディアの一部のライターなどは、そのように考えていたのではないかと推測されます。

ここで忘れてはならないのが、写真は著作物である以上、たとえフリーに接することができたとしても、決して利用はフリーというわけではない、ということです。

後述にもありますが、もちろん権利者が利用OKと言えば大丈夫です。著作権は、権利者が行使しないという選択肢もあるためです。

改変利用はもっと良くない

コストフリーであるがためにフリー利用ができると勘違いしているだけならまだ良いですが、中にはダメだとわかっていながら勝手に利用するというケースも少なくありません。

ネット上で公開されている写真の一部には、ウォーターマークと呼ばれる、著作権者の名前などがうっすらと入った状態で公開されているものがあります。

ひどいものになると、このウォーターマークを意図的に削除して利用しているケースがあります。
ダメだとわかっていながらやっているのか、あるいは単にデザイン上邪魔だったから消したのかはわかりませんが、とにかくこういった改変して利用するという行為は、より悪質なのではないかと考えます。

ちなみに、法律上はリンクならOK?!

そもそも無断での利用がなぜダメなのかというと、写真の利用の際に多くの場合複製行為が行われ、それが「複製権」の侵害となるためです。
ポスターやチラシのような印刷物であれば複製されているということがわかりやすいですが、ホームページやブログなどのネット上での利用についても、利用する画像が保存されているサーバーとは別のサーバーから配信されているのであれば複製されているということになりますので、これも複製権の侵害です。
ネットの場合は更に、公衆への送信行為にもなりますので「公衆送信権」の侵害という可能性もでてきます。

では、複製行為を行わない、いわゆる直リン状態であればどうでしょうか?

画像を自分側のサーバーに置くのではなく、<img src=”元の画像のURL”>のような形で画像URLだけを指定して表示させている状態です。

現在の著作権法では、この画像への直リンクによる表示について規制する明確な条文や判例はありません。
また、複製を行っておらず、また画像を送信しているのも元画像が置かれているサーバーであるため、明確に公衆送信権の侵害だとは断言できません。

ただ、著作権ではなく著作者人格権の一つである「氏名表示権」侵害を主張することはできそうですし、状況によっては「同一性保持権」侵害も考えられ、どちらにせよ著作権法上の問題はゼロではありません

著作者人格権の「公表権」の侵害だと主張することもできるのでは?という考えもありますが、おそらくそれは難しいです。画像自体はすでに元のサイトにて公開(公表)されているため、それ以降は権利が及ばないためです。

ライセンスをしっかり確認しよう

これまで「ネット上の画像は勝手に利用不可!著作権者の許諾をとる!!」と書いてきましたが、例外もあります。

ネットでの画像検索でヒットする写真の一部には、著作権を放棄したり、自由に利用して良いと予め許諾された形で公開されているものもあります。
私がこのブログで利用する写真の多くも、こういった著作権を放棄したり著作権保護期間が経過したクリエイティブ・コモンズライセンス(CC0)パブリックドメインとして公開されているものを使っています。
これらの写真は、予め自由に利用してよいとされているものですので、改めて著作権者に許諾をとる必要はありません。

また、権利は放棄していなくても、一定の条件下で無断での利用を許諾しているものもあります。

このように、写真によっては特別な権利処理無く利用できるものもありますので、まずはそういった写真を利用することから考えるという方法もあります。
この場合でも、著作権は放棄しているのかいないのか、放棄していなければどんな状況で利用できるものなのかなど、その写真に付けられた利用許諾(ライセンス)をしっかり確認することは必要です。

本当に必要な写真なら対価を支払おう

このような、予め利用許諾された写真だけ使うのであれば良いのですが、実際にはなかなかそういうわけにもいきません。

そんな場合のために、ストックフォトと呼ばれる、予め様々なシチュエーションで撮影された写真素材を販売しているサイトというのも多数あります。
主にプロカメラマンが撮影した高品質の写真を取り扱っており、イメージ通り、あるいはイメージに近い写真を手に入れることができます。

多くの場合有償での販売となっており、価格は数十円から数万円まで幅広いですが、必要な写真であればこの費用を支払う価値は十分あると思います。

”無断”をやめよう

ストックフォトとして販売されている写真ではないけれど、でもどうしても利用したい写真がある。

そんな場合は、まずはその写真の権利者だと思われる人にコンタクトを取りましょう。
画像検索で見つかった写真であれば、その写真が掲載されている元のサイトというのもわかりますので、そのサイトの管理者などに問い合わせます。
どんな方法で利用したいのかをしっかり伝えて許諾を依頼すれば、もしかしたら応えてくれるかもしれません。

とにかく、無断での使用をやめましょう。
多くの写真家の権利が守られるように、利用者側も十分に配慮して、ネット上にある貴重な資産を利用していきたいですね。

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