法改正により相続でも第三者対抗のためには登録が必要に!今から考えよう著作権登録

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著作権とは著作者人格権、実演家人格権を除いて財産権であるため、他人に譲渡できますし、また著作権者が亡くなった場合は相続財産となって相続人に相続されます。

この著作権の相続について、民法の改正に合わせて著作権法も改正されることになっており、「著作権の相続を第三者に対抗するためには登録が必要」という形に変更されます。

なお、著作権の登録については、以前記事を書いていますのでそちらもご参照ください

相続法の改正に合わせたもの

そもそもこの改正は、平成30年7月13日に公布された「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」に基づくもので、配偶者居住権の新設などの民法における相続や遺言に関する規定の改正が主なものです。

その中で、実は著作権法も改正の対象となっており、著作権の登録に関する規定の一部が改正されることになっています。

第三者に対抗できる、とは?

第三者に対抗できるとは、「自分と著作権者(相続の場合で言えば亡くなった被相続人)以外の人」(第三者)に対して「自分のところに著作権が移転されている!!」と主張することができ、しかもそれが単なる一方的な主張、反論ではなく、法的にも正当な主張であるということです。

下図の例でいえば、B社のほうが先に譲渡を受けていますが、C社が登録を行うことでC社が著作権者となり、B社に対して著作権者であることを主張できます。

ただし、著作権移転の登録を行っていても、上図の例で言えばAからB社への譲渡をC社が知っており、B社に損害を与えるためにAから権利譲渡を受けて著作権登録を行っていたような場合は、C社は「背信的悪意者」とみなされてB社に対抗できなくなる場合もあります。

現行法では登録不要で対抗できる

現行法では、相続や合併などの一般承継によって著作権が移転した場合は、登録などしなくても第三者に対抗できるとされていました。(※下線は筆者によるものです。以下同様。)

例えるなら、”相続”というイベントが発生することにより手に入れた著作権には自動的に”対抗力”という武器も手に入れるイメージです。

【現在の著作権法】
(著作権の登録)
第七十七条 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一 著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)若しくは信託による変更又は処分の制限

例えば、著作権者Aさん(既婚者・子どもなし)は生前に自身の著作権を友人Cさんに譲渡していましたが、それを知らなかったAさんの妻Bさん(相続人)は、Aさんの死去に伴う相続(単独相続)で、Aさんの著作権はすべて自分が相続したものだと認識していたところに、友人Cさんから「私が著作権を譲り受けているのであなたは著作権者ではない!」と言われてしまいました。

この場合、現行法では妻Bさんは特に何もしなくても、友人Cさんに対して、「私が著作権者です!!」と対抗(主張)することができます。
これに対して、友人Cさんが、自身がAさんの著作権を譲り受けているという有効な証拠(著作権移転の登録)を提示できない限り、妻Bさんが著作権者ということになります。

改正後は相続でも第三者に対抗するためには登録が必要に

しかし、改正法では、先述の条文の下線部分が削除され、

【改正された著作権法】
(著作権の登録)
第七十七条 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一 著作権の移転若しくは信託による変更又は処分の制限

契約による譲渡か相続などの一般承継かどうかは関係無く、とにかく著作権の移転について第三者に対抗するためには登録が必要ということになります。

もはや”相続”というイベントでは”対抗力”という武器が入手できなくなります。

上記の例の場合、妻Bさんが著作権移転の登録をしていない場合は、友人Cさんに対抗することはできなくなります。
(先に登録した方に著作権が帰属しますが、BさんとCさんとの話し合いか、あるいは法的手続きにより著作権者を確定させることも考えられます。)

出版権も同様

著作権の移転だけではなく、出版権の移転についても登録が必要という形に改正されます。

【現在の著作権法】
(出版権の登録)
第八十八条 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一 出版権の設定、移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)、変更若しくは消滅(混同又は複製権若しくは公衆送信権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限

【改正された著作権法】
(出版権の登録)
第八十八条 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一 出版権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は複製権若しくは公衆送信権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限

相続に関係無く著作権移転の際は登録がお勧め

この改正法は、本日(平成30年11月19日)現在、施行日は定まっていませんので、具体的にいつからこの規定に改正されるのかは未定ですが、公布の日から1年以内、つまり平成31年(2019年)7月13日までに施行されることになっています。
(2018年11月22日追記)
2019年7月1日から施行されることになりました。
法務省:民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行期日について

なお、施行日以後の相続などについて適用されますので、施行日よりも前に相続などによって著作権を譲り受けている場合は従来通り登録の必要はありません

今回の改正の対象は相続などによる著作権移転ですが、現行法においても契約などによる著作権の移転を第三者に対抗するためには登録が必要とされていますので、この改正法の施行に関わらず、著作権を譲渡・譲受する場合は移転の登録をお勧めいたします。

登録先は、プログラムの著作物は一般財団法人ソフトウェア情報センター(SOFTIC)、それ以外は文化庁となっております。

なお、著作権の登録については行政書士が代理することができますが、実際に登録手続きの経験・知見がある行政書士は極僅かしかいないと思いますので、登録をお考えの際はぜひ著作権に詳しい事務所にご相談ください

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