著作物とは?

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著作物の定義

著作権法では、第2条第1項第1号で著作物についての定義がされており、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」となっています。
これに該当するものが著作物となるのですが、逆に言うと、この定義に該当しなければ著作物ではありませんので、著作権法では保護されないもの、となります。

絵や文章など、何かを作ったらどんなものにでも著作権がある、というのは語弊があるということですね。

ここがポイント!

著作物の定義についての条文では少し難解かもしれませんが、重要なのは以下のポイントです。

【思想又は感情】
例えば「スカイツリーの高さは634mです」といった単なるデータは思想でも感情でもありませんので、著作物にはなりません。創作者の思想や感情を伴っていることが必要です。

【創作的】
他のものを模倣したような、創作が加わっていないものは除外されます。
また、誰が表現しても同じものになるような、ありふれたものも除外されます。
独創性や新規性、芸術性がある必要はなく、表現者の個性が現れていればOKです。もちろん、うまい・ヘタは関係ありません。

【表現したもの】
表現する必要がありますので、頭のなかにあるだけのアイデアなどは除外されます。
また、例えば「秘伝のレシピ」のようなものもアイデアですので、そのレシピは著作物にはならず、そのレシピで料理を作っても著作権侵害にはなりません。
なお、アイデアは著作物ではありませんが、そのアイデアを文章としてまとめたものは著作物となります。
先述の秘伝のレシピも、書籍などで表現していたら、それは著作物となります。

なお、アイデアは特許法や不正競争防止法で保護されます。

【文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する】
この条件により、工業製品などが除外されます。
個人的にはすごく芸術的なものに限定するような印象を受ける文言ですが、実際にはそんなことはなく、例えば誰かに宛てたごく普通の手紙なども該当します。

プロが作成したものが著作物、ということではなく、保育園児でも近所の主婦でも、誰が作ったものでも著作物の定義に該当すれば著作物ですし、アーティストや作家などのプロが創作したものでも著作物の定義に該当しなければ著作物ではなく、著作権法では保護されません。

著作権法の条文だけではハッキリしないものは裁判で”著作物性”について争われます

また、著作物であっても、著作権法で保護されるのは【法人、個人を問わず日本国民が日本において発行した著作物】または【条約により保護の義務を負う著作物】、とされています。

定義だけではわかりづらいので例示されています

著作物の定義は著作権法第2条第1項第1号で定義されているのですが、著作権法ではもう少し具体的に例示もされています。(著作権法第10条)

音楽の著作物(曲、歌詞など)、
舞踊又は無言劇の著作物(バレエやダンスなど。実際の演技は実演に該当し、著作物としてはダンスなどの振り付けを差す)
美術の著作物(絵画、彫刻、マンガなど)、
建築の著作物(寺院、橋、庭園など)、
地図又は図形の著作物(地図、図表など)、
映画の著作物(映画、CM、ドラマ、ホームビデオの映像、テレビゲームなど)、
写真の著作物(写真、グラビアなど)、
プログラムの著作物(プログラムなど)
が例示されています。

二次的著作物とは

著作権法では、前項の例示されている著作物の他にも、いくつかの著作物が定義されています。その中の一つが「二次的著作物」で、翻訳や編曲などにより、既存の著作物に対して新たな創作行為を加えて作成された著作物のことを言います。

いわゆる「二次創作」というのもこの二次的著作物です

基となった著作物とは別の著作物として扱われ、別の形で著作権の保護を受けます。

なお、翻訳は編曲などは、どの著作物に対しても自由に行って良いものではなく、著作者が持つ「翻訳権」「編曲権」などの権利によって翻訳や編曲が許諾された場合に行うことができます。
好きな曲であっても勝手に編曲してはいけませんし、心を打たれた講演だからといって勝手にテキストを書き起こしてブログに掲載する等はダメということです。

また、二次的著作物の特徴としては、二次的著作物の著作者の他に、その創作の基となった著作物(原著作物)の著作者も権利を有する点です。
Aさんが作った曲(音楽の著作物)をBさんが編曲した場合、それをCDにして販売(譲渡権)するにはBさんだけではなくAさんにも許諾を求める必要があります。

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