結婚披露宴で上映するビデオのBGMで好きなアーティストの曲を使いたい

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出典: 足成

もうすぐ6月になり、ジューンブライドということで結婚式が増えるのかどうかはわかりませんが、披露宴ではプロフィールビデオのような、新郎新婦の生い立ちをビデオで紹介するという演出は多いですよね。
そのビデオのBGMとして、「二人の思い出の曲を使いたい」「好きなアーティストの曲を使いたい」「定番の曲を使って笑いを取りたい」などなど、著作権が保護されている楽曲を使いたいという場合は多いと思います。

ビデオの製作会社が作成する場合はその会社の責任でいろいろと権利処理するはずですが、個人がパソコンで作るような場合、まったく何も考えずに(勝手に)使っているケースというのも少なくないのでは?という印象もあります。

しっかりと著作権者の権利を守るよう、プロフィールビデオのBGMで既存楽曲を使う場合の著作権について少し考えてみます。

関係する著作権は3つ

市販されているCDやiTunesなどでダウンロードした楽曲というのは、ほぼ例外なく著作物です。(例外がすぐには思いつきませんが、「例外なく」と断定してしまうのも問題ありそうなので「ほぼ」と付けています・・・。)
ということは、著作権の保護期間が切れていない楽曲については著作権法で保護されていますので、利用する際には注意が必要です。
「自分がお金を払って買ったものだから自由に使って良い」ということはありません。

その著作権について、既存の楽曲をプロフィールビデオのBGMとして利用する場合は、具体的には次の権利が関係してきます。

複製権

ビデオのBGMとして利用するということは、楽曲が収録されているCD等からプロフィールビデオの媒体(DVD等)に楽曲が「複製(コピー)」されることになるため、複製権の処理が必要となります。
これは、楽曲を1曲まるまる利用する場合でも、一部分のみ利用する場合でも同じです。

なお、処理すべき複製権は、著作者(作詞者や作曲者)に付与される著作権としての複製権の他に、CD等の原盤を作成した音楽出版社やプロダクション、レコード会社等に付与される著作隣接権としての複製権の、2種類あることにも注意が必要です。

演奏権

CD等の録音物を公衆にむけて再生することになるため、演奏権の処理も必要です。
なお、「公衆」の定義としては「不特定」または「特定多数」とされていますが、披露宴のような場合は「特定多数」に該当するものと思われます。

法令上の明確な根拠はありませんが、「多数」は概ね50人以上と言われています。ただ、仮に10~20人の披露宴であったとしても多数に該当してしまうのではないでしょうか。

録音権

こちらは厳密には著作権ではなく、CDに収録されている歌や演奏などを行った実演家が持つ著作隣接権です。
先述の複製権と同様にプロフィールビデオの媒体に歌や演奏が複製として「録音」されることになるため、この権利の処理も必要です。

制限規定は適用されない

市販の楽曲を利用する場合であっても、著作権法の制限規定に該当する場合は、著作権者の許諾なしで利用することができます。
よくあるのは、購入したCDを個人的利用のためにiPodやPCに複製(コピー)するような行為で、これは「私的利用のための複製(著作権法第30条)」として権利者に許諾を得ることなく行うことが出来ます。

では、プロフィールビデオのBGMとして利用する場合に適用できる制限規定はあるのか?と言うと、、、ありません。
先の例に挙げたような私的利用ではありませんし、その他の条文で規定されている教育、図書館、福祉、報道、立法や司法の関係ではありません。引用や転載でもありませんし、披露宴は一般的に非営利・無料ではなく、仮に非営利・無料であったとしても適用できるのは演奏権のみで複製権は該当しません。

非営利・無料なら著作物のコピーができる、と勘違いされやすいですが、この制限規定(著作権法第38条)が適用されるのは上演、演奏、上映、口述のみですので要注意!

つまり、利用する際には、必ずそれぞれの著作権者に対して許諾が必要、ということになります。

著作権管理事業者とレコード会社に問い合わせ

実際に利用する際には、それぞれの著作権者に対して許諾を得る必要があります。
よって、厳密には1曲ごとに作詞者、作曲者、編曲者、歌手、演奏者、レコード製作者などの権利者それぞれに許諾を得る必要があるのですが、実際には著作権や著作隣接権を譲渡したり信託したりしていますので、実際にやりとりする関係先は一般的には著作権管理事業者レコード会社に絞られます。

2つの複製権については、一般社団法人音楽特定利用促進機構(ISUM)という団体が著作権管理事業者とレコード会社への申請について代行をおこなっており、一度の手続で両者への申請手続が可能なようです。
利用する式場が契約しているかどうか確認してみてください。

複製権(著作権)・・・著作権管理事業者

著作権としての複製権については、本来は作詞者や作曲者が権利者ですが、一般的には著作権は音楽出版社に譲渡されており、その音楽出版社が日本音楽著作権協会(JASRAC)やイーライセンスなどの著作権管理事業者に対して信託(著作権の管理を任せている)しているため、問い合わせ先は使いたい楽曲を管理している著作権管理事業者ということになります。

複製権(著作隣接権)・・・多くの場合レコード会社

著作隣接権としての複製権は、いわゆる「原盤権」として通常は原盤を制作した音楽出版社やプロダクションが持っており(原盤制作者。著作権法では「レコード製作者」)、一般的にはそれをレコード会社に譲渡(または原盤供給)するため、そのレコード会社から許諾を得る必要があります。

アーティストによっては、そのアーティスト自身や所属事務所などが原盤権を持っている場合もあります。
その場合はレコード会社ではなくその原盤権を持っているところに交渉します。

演奏権・・・式場任せ

複製権(著作権)と同様にこちらも著作権管理事業者が管理している場合が多いですが、こちらはプロフィールビデオを作成する側は特に手続する必要がなく、ビデオを上映する式場側が手続を行います。

カラオケ法理というもので、著作物を利用する者(今回はプロフィールビデオ制作者)ではなく、その場を提供する者が著作物の利用者だとする考え方です。

一般的には著作権管理事業者と包括契約を結んでいる場合が多く、そうでない場合も式場側の責任によってJASRACなどの著作権管理事業者から許諾を得る必要があります。

録音権・・・多くの場合レコード会社

録音権を持つのは実演家であるため、原則としては実演家に対して許諾を得る必要があるのですが、音楽CDなどは原盤制作時(レコーディング時)に実演家の録音権を原盤制作者に譲渡し、さらにそれがレコード会社に譲渡(または原盤供給)されるケースが多いため、録音権についてもレコード会社に対して許諾を得ることになります。

違法行為の無いように

わからないことは、勝手な判断をせず、関係各所に問い合わせてみることをお勧めします。

JASRACでも、「ブライダルにおける演出用DVD、BGM用CD、記録用DVDなどを製作される事業者の皆さまへ」のようなページを用意し、各手続についての案内を出しています。

自分で作詞作曲したものを自分で演奏して自分で歌ったものや、自分ではなく知人友人がこれらを行ったような楽曲以外は、基本的に著作権処理が必要だと考えて間違いないです。

もちろん、知人・友人が作ったり演奏したりした楽曲であっても、利用する場合はちゃんと許可を得たほうが余計なトラブルは防止できます。

晴れの舞台なのですから、市販CDを勝手に利用して違法行為となるのではなく、しっかりと権利者の権利を守って正しく利用したいものですね。

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