ハンドメイド商品のフリマ販売に関係する著作権

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

出典: いらすとや

従来からのヤフオク(Yahoo!オークション)などに加え、近年ではメルカリなどにより、ネットを通じた個人と個人による売買が当たり前のように行われるようになりましたが、ネットだけに限らず、公園などで行われるフリーマーケットやバザーなども依然人気が高いですよね。(以下、これらの個人間売買を総称して「フリマ」といいます。)

こういったフリマにおいて、手作りの商品を出品しているケースも非常に多いのですが、その一部に対して「著作権侵害だ!」との指摘がなされることも少なくないようです。
特に、市販されている生地やファブリック、あるいは自分でデザインした生地を使ったハンドメイド商品に対して指摘される場合があります。

そこで、なぜ著作権侵害と言われるのか、という点について考えてみたいと思います。

生地の柄は著作物

著作権の侵害となるのは、著作物に対して、著作権者の許諾なく、著作権法で規定する方法での利用を行った場合となるのが原則です。
つまり、ハンドメイド品に利用した生地の柄が著作物であるかどうかが、最初のポイントとなります。

青色のネコ型ロボットや、顔があんパンでできているキャラクターなど、有名なキャラクターが描かれた生地であれば、当然そのキャラクターは著作物だろうということは想像できると思いますが、そうではない柄の場合はどうでしょうか。

デザインなどの美術の著作物に関して、実用のために作られるデザインは著作物ではないとする考えがあり、こういったデザインは「応用美術」と呼ばれています。具体的には、家具や人形、宝飾品などのデザインが該当します。

では、ハンドメイド商品を作るために利用する生地や布はどうでしょうか?
生地は実用のために作られている、と言えばそのように考えられなくもないですが、確かに生地自体は実用のために製造されますが、その生地に描かれる柄、デザインは”見る””見せる”ためのものであり、それ自体に美的創作性が表れている場合が通常だと思います。
つまり、ありふれたもの(例えば単純な市松模様など)でなければ、一般的には著作物であると考えられます。

なお、実際の裁判例では、Tシャツのプリント柄を著作物として認めたもの(「Tシャツ事件」東京地裁昭和56年4月20日判決)がある一方、着物の帯の柄を著作物とは認めなかったもの(「佐賀錦袋帯事件」京都地裁平成元年6月15日判決)もあり、具体的な状況によって判断は分かれる可能性はあります。

侵害する支分権は?

ただ、生地の柄が著作物なのだから、それを利用して商品を作るのは著作権侵害だ・・・というわけではありません。
先に記した通り、著作権侵害となるのは「著作権法で規定する方法での利用」を行った場合です。著作権法で規定する方法とは、具体的には著作権法21条~28条で規定される、複製権、上演・演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳・翻案権、そして二次的著作物利用に関する原著作者の権利に該当する場合で、これらの権利は「支分権」と呼ばれます。

では、著作物が描かれている生地や布を使って、何らかのハンドメイド商品を作ってフリマで売ることは、上記支分権のどの権利を侵害する行為でしょうか?
ここが第2のポイントとなります。

この判断のポイントは、市販されている生地を利用した場合と、自身でデザインした生地を利用する場合とで異なります。

市販されている生地を利用した場合

支分権のうち、該当しそうなのは複製権(21条)、譲渡権(26条の2)、翻案権(27条)が考えられますので、それぞれの場合を検討してみます。

■複製権・・・○ 生地を利用(裁断して縫い上げるなど)しただけでは複製は行っていないので問題なし
■譲渡権・・・△ 作成した商品は代金と引き換えに購入者に渡すから、これは譲渡・・・!?
■翻案権・・・△ 生地そのままの形ではなく、裁断などを行って形は変わるから、これは翻案している・・・!?

ただ、翻案権については、生地として販売しているものは、加工することが前提である場合も多いため、形を変える(翻案する)ことは予め許諾されていると考えられます。よって、翻案権は問題ありません

また、譲渡権についても、売買という行為自体は「譲渡」ですが、実は著作権法26条の2、2項1号において、「権利者の許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品または複製物」を譲渡する場合には、この譲渡権は適用しないと定められています。
つまり、キャラクターの柄であっても、その権利者から許諾を得て生地として販売されているということは、その生地(の柄)は「公衆に譲渡された著作物の複製物」に該当し、それを利用したハンドメイド品の購入者に譲渡したとしても、譲渡権は及ばないことになります。よって、譲渡権も問題無いということになります。

まとめると、この場合、実はどの支分権も侵害しないため、著作権侵害ではないと考えられます。

もちろん、どんな生地でも、それを使って他人が権利を有する著作物を作る行為(マンガやアニメのキャラクターをぬいぐるみやフィギュアにする、など)は複製権や翻案権の侵害となる場合があります。

自身でデザインした生地を利用する場合

この場合は、その柄自体が支分権の何れかを侵害しているときは、著作権侵害となりますし、そうでなければ著作権侵害にはなりません。

既存のデザインによく似せたものであったり、他人が権利者である著作物を描いたような場合は、複製権、譲渡権、翻案権などの侵害となる行為であることから、著作権侵害であると認められると思います。

「○○というブランドの柄に似ているけど、自社ロゴを追加してアレンジしたから大丈夫」ということはありませんので(複製権と翻案権の侵害です)、好きな柄であっても過度に似たものとならないよう注意が必要です。

問題は著作権だけではない

このように、市販されている生地を使ったハンドメイド品は、著作権の侵害には当たらないと考えられます。

では、こういった商品を販売しても問題ないのか?と言うと、実は問題点は別にあります。

生地のメーカーや販売店によっては、販売の際に生地の利用目的を制限している場合があり、ハンドメイド品としての販売目的での利用を禁止している生地もあります
このような生地を使ったハンドメイド品をフリマで販売することは契約違反であり、販売差し止めや損害賠償を請求される可能性があります。

例えば、人気ブランド「Marimekko」のファブリックは販売目的での二次加工品への利用を禁じています。
http://www.marimekko.jp/guide/#guide15

また、著作権以外の知的財産権(意匠権、商標権)によって保護されている図柄が描かれた生地を利用する場合も注意が必要です。

例えば、有名なルイ・ヴィトンのモノグラム柄は商標登録されており(登録番号 第1448815号)、こういった図柄を使用した商品を販売した場合は商標権侵害となる可能性が高いです。

過去の裁判においても、「ルイ・ヴィトン事件(大阪地裁昭和62年3月18日判決)」にてモノグラム柄の使用は商標権侵害に当たると判断されています。

モノグラム柄くらい有名なものであれば、それを使ってはいけないことは多くの方が理解されていると思いますが、それ以外にも商標登録されていたり意匠登録されているものは多数存在しますので、こういった権利を侵害しないよう注意が必要です。

著作権や商標権を侵害したら逮捕される?!

著作権法(119条)にも商標法(78条)にも罰則規定があり、どちらも侵害者に対して10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処すことができます。しかも、併科できるとされているため、懲役と罰金の両方が科される場合もあります。
逮捕されるかどうかは侵害の程度などにもよりますが、このような刑事罰が定められている以上、状況によっては逮捕される可能性もあります。

なお、この刑事罰は故意により権利侵害した場合に適用され(刑法38条1項)、権利侵害していることを知らなかった場合は対象とはなりません。

ただ、刑事罰の対象にならなかったとしても、民事的な請求、つまり販売差し止めや損害賠償を請求されることはあります。

フリマなどの個人間売買は手軽に気軽に行うことができますが、著作権や商標権の侵害しないよう注意することはもちろん、生地販売元が定めたルールにも従い、適切に利用するようにしましょう。

講習会
スポンサーリンク
外部顧問サービスをご利用ください

SNSフォローボタン

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存
スポンサーリンク